東京高等裁判所 昭和33年(ラ)203号 決定
記録によれば、本件執行文付与に対する異議の訴は、原告石井キミヱが抗告理由記載の債務名義表示の債務者鈴木静の承継人でないことを主張するものであることが明らかであり、右執行債務者石井キミヱにおいて執行債権者たる抗告人に対し、その主張のように任意の明渡を約した事実があつたとしても、必ずしもこれがため右承継を争うことができなくなるものとは限らず、又これにより当然執行文付与に対する異議を申立てる権利を失うものと解すべき根拠はない。なお執行債務者石井キミヱが執行債権者たる抗告人に対しあらかじめ執行停止の申立その他法律上の救済手段に訴えないことを誓約したとしても、かような約定は、甚しく執行当事者間の衡平を害し、執行債務者のため法律上の救済手段を設けた民事訴訟法の法意にも反するから、法律上の効力がなく、執行債務者はこれによつて執行文付与に対する異議の訴及びこれに附随して強制執行の停止を求める申立をなすことを妨げられることはない。
(坂本 小沢 荒川)